今回のブログ記事では断熱材ポリスチレンフォームの特徴・メリット・デメリットについて詳しく解説していくぞい!
ポリスチレンフォームは壁部分に使われる断熱材としてはそれほどメジャーではないものの、床や天井など住宅の一部に部分的によく使われている断熱材じゃ。こちらも特徴・メリット・デメリットを知っておいて損はないぞい!
断熱材 ポリスチレンフォームとは
それでは今回のブログ記事では断熱材「ポリスチレンフォーム」について詳しくまとめていくぞい!アシスタント諸君はポリスチレンフォームって聞いたことはあるかね?
ないですポン!
知らない人が大多数じゃろうな。ま、みんな断熱材のことなんか詳しく知らないものだし、特にポリスチレンフォームはグラスウールやロックウールほどメジャーでもないしな!
でも、ポリスチレンフォームは床や天井など住宅の湿気に弱い部分にはよく使われている断熱材じゃから覚えておくんじゃよ!
ポリスチレンフォームは発泡プラスチック系っぽい名前の断熱材ですね。
うむ。いかにもポリスチレンフォームは発泡プラスチック系の断熱材じゃ。ポリスチレンフォームは「ポリスチレン樹脂」という素材に発泡剤や難燃剤を加えて発泡させたもの。
そしてポリスチレンフォームには「ビーズ法ポリスチレンフォーム」と「押出し法ポリスチレンフォーム」の2種類があるのじゃ。
じゃあ「ビーズ法」と「押出し法」を順番に解説して欲しいです!
ビーズ法ポリスチレンフォーム
ではまず「ビーズ法ポリスチレンフォーム」についてじゃ。ビーズ法ポリスチレンフォームはポリスチレン樹脂に発泡剤・難燃剤を加えてビーズ状にしたものを蒸気のチカラで30~80倍くらいに発泡させたもの。
発泡させているので内部に無数の空気層を内包しており、この空気層が断熱性を発揮するってわけじゃな!
聞き慣れない言葉だらけでなんだかイメージしずらいなぁ…。
フォッフォッフォ。
確かにビーズ法ポリスチレンフォームって聞くとなんだか珍しいものと思ってしまうが、なんのことはない。いわゆる「発泡スチロール」のことじゃな!
なーんだ!発泡スチロールならよく知っているよ!よくクール便とかの宅配に使われているヤツだよね!
そうそう!クール便などの冷蔵宅配用の箱として使われていることからもわかる通り、発泡スチロールはなかなか断熱性の優れた素材なんじゃよ。
でも発泡スチロールってなんだか安っぽいイメージがありますね。
安っぽいというか実際ビーズ法ポリスチレンフォームは発泡プラスチック系断熱材のなかでは「安い」からのう!コストを抑えられる点はビーズ法ポリスチレンフォームの最大のメリットとも言える。ただし、安いと言ってもグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材に比べると若干割高になるぞい。
押出法ポリスチレンフォーム
次は押出法ポリスチレンフォームについてじゃが、こちらも「ビーズ法」と同じくポリスチレン樹脂に発泡剤・難燃剤を混ぜあわせて発泡させたもの。こちらは名前のとおり「押し出し機」を使って、押し出されたタイミングで発泡させてボード上に成型している断熱材じゃな!
なんかビーズ法と同じものみたいに聞こえるけど、具体的になにがちがうの?
押出法がビーズ法と明確にちがう点は発泡させた後の粒子の大きさじゃ。押出法のほうが一粒一粒が小さく密度が高い。したがって、ビーズ法ポリスチレンフォームよりも押出法ポリスチレンフォームのほうが密度が高く断熱性能が高いというわけじゃ!
密度が高いということは強度も高そうですね!
うむ。押出法ポリスチレンフォームは「密度が高い」ため堅くて圧力に強いので、床断熱や外張り断熱に適した素材と言えるのう!
ビーズ法と押出法では断熱性能はどれくらい違うポン?
ザックリした数値じゃが、ビーズ法ポリスチレンフォームは「熱伝導率:0.034」程度で、押出し法ポリスチレンフォームは「熱伝導率0.028」程度じゃ。押出し法ポリスチレンフォームのほうが若干、断熱性能が高いといえるじゃろう。
じゃあ、価格も押し出し法の方が高いんですかね?
その通り。押出法ポリスチレンフォームはビーズ法よりも価格が高くなるぞい。
具体的にどれくらい高いの?
ビーズ法ポリスチレンフォームはグラスウールのおよそ1.5倍程度の価格で、押出法ポリスチレンフォームはグラスウールのおよそ1.8倍から2倍程度も価格が高いんじゃ。押出法ポリスチレンフォームは壁部分に使うとコストも高まるので、床や天井など部分的に使われるケースが多いとも言えるな。
価格としてはビーズ法ポリスチレンフォームよりも押出法ポリスチレンフォームの方が高いと覚えておこう。
ポリスチレンフォームは意外にけっこう高いポン!
断熱材 ポリスチレンフォームのメリット・デメリット
次は「ビーズ法ポリスチレンフォーム」と「押出法ポリスチレンフォーム」に共通した特徴(メリット・デメリット)を解説していこう。
ポリスチレンフォームのメリット 断熱性が高い
前述で少し述べたがポリスチレンフォームは素材自体の断熱性はなかなか高いぞい。ザックリとした数値じゃが、ビーズ法ポリスチレンフォームは「熱伝導率:0.034」程度で、押出法ポリスチレンフォームは「熱伝導率:0.028程度」じゃ。
ただ数値を言われてもわかりにくいポン!比較対象がないと!
じゃあわかりやすいように、繊維系断熱材のグラスウールと発泡プラスチック系断熱材のウレタンフォームと比べてみようか。
断熱材の種類 | 熱伝導率[W/(m・K)] |
---|---|
グラスウール | 0.034~0.050 |
ビーズ法ポリスチレンフォーム | 0.034 |
押出法ポリスチレンフォーム | 0.028 |
硬質ウレタンフォーム | 0.024 |
つまり、わかりやすく言うとビーズ法ポリスチレンフォームは高性能グラスウールと同等かそれ以上の断熱性で、押出法ポリスチレンフォームは高性能グラスウール以上、硬質ウレタンフォーム以下くらいの断熱性と考えればOKじゃ!
OK!わかったポン!
ポリスチレンフォームのメリット 水・湿気に強く結露しにくい
それからポリスチレンフォームは「水や湿気に強い」という特徴があるぞい!
確かに発泡スチロールって市場とか魚屋さんとか水気の多いところでよく使われているような気がするポン!
うむ。発泡スチロールは断熱性が高くて水や湿気に強いので魚市場でもよくつかわれるのう!繊維系断熱材の場合は、水分を吸ってしまうと途端に断熱効果が劣化してしまう。じゃが、ポリスチレンフォームは湿気を吸わない性質なので、水や湿気で断熱効果が劣化するということがないんじゃ。もちろん、湿気を吸わないので結露もしにくいぞい!
グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材は水分や湿気に弱いのがデメリットだったので、この点はポリスチレンフォームの大きなアドバンテージですね!
ポリスチレンフォームのメリット 軽い
ポリスチレンフォームは「軽い」という点もメリットの一つじゃ!
軽いとどういう利点があるの?
単純な話、軽ければ軽いほど輸送コストも下がって運搬しやすいし施工もラクになるメリットがある。それと断熱材が軽ければ建物の総重量にも影響する。建物というのは重ければ重いほど地震に弱くなるものなのじゃ。ポリスチレンフォームを採用し、建物の総重量が軽くなれば相対的に地震への抵抗力も高まると考えられるのう。
ま、とはいえしっかり構造計算を行って耐震等級を取得している建物ならいずれにしても安心ではあるがね。
でも少しでも地震に強くなるのは良い点だポン!
ポリスチレンフォームのメリット 断熱性能が劣化しにくい
それからポリスチレンフォームは断熱性能が劣化しにくいというメリットもあるぞい。
グラスウールやロックウールは施工の仕方が悪いと経年でずり落ちてしまったり、湿気を吸ってダメになってしまうことがあるんでしたよね。ポリスチレンフォームはそういうことがないんですか?
ポリスチレンフォームはそもそもボード上に成型しているので、経年で変形するということはあまりないようじゃな。湿気にも強いので劣化には強いぞい。
実際、南極の昭和基地にもビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材が使われているのじゃが、南極の過酷な環境で40年経過したポリスチレンフォーム断熱材も、建築当初と比較して断熱性はほとんど劣化していないことが建築学会によって確認されておる。
劣化しにくいとはなかなか優秀なヤツだポン!
ポリスチレンフォームのデメリット 耐火性が不安
ここからはポリスチレンフォームの弱点の特徴。いわゆるデメリットじゃな。ポリスチレンフォームは火や熱に弱いのじゃ。
じゃあ火事になったら大変だポン!
うむ。ポリスチレンフォームも一応「難燃剤」を混ぜこんであるので、難燃性ではあるものの「不燃性」というではない。燃えにくくても燃えないわけではないのじゃ。
じゃあ火災になったら逃げる時間を稼ぎにくいということですね。
うむ。住宅火災はめったに起きないとはいえ、命にかかわる部分じゃから予め理解しておくべきじゃろう。
また、もし火災で全焼を免れたとしても、ポリスチレンフォームは熱に弱いので熱を浴びた部分はポリスチレンフォームが縮んでしまって断熱材としての機能が失われてしまう。この点も覚えておこう。
もしポリスチレンフォームが燃えたら有毒ガスは発生するの?
良い質問じゃ。ポリスチレンフォームは万が一燃えたとしても有毒ガスは発生しないと言われておるよ。ただ、有毒ガスが発生するしないに関わらず火災になったら煙を吸わないように1秒でも早く避難するべきじゃ。
はいポン!
ポリスチレンフォームのデメリット シロアリに弱い
それからポリスチレンフォームは実はシロアリにも弱いぞい。ウレタンフォームの特集記事でも説明したが、シロアリは木材だけでなくプラスチック系の素材もかじって侵入経路にしてしまうことがあるのじゃ。
シロアリって普段はぜんぜん見ないですけど、実は日本全国にいるんですもんね。怖いです。
うむ。どちらかというと暖かい地方のほうがシロアリ被害は多いので、南方に住む方は注意しておかないといけないな。
ただいずれにしても木造住宅の場合はシロアリ対策は必要不可欠。ポリスチレンフォームを採用しようがしまいが防蟻処理は必ずするものだし、防蟻処理さえ定期的に行えば必要以上に怖がる必要はないと思うぞい!
断熱材 ポリスチレンフォームを採用している主なハウスメーカー
博士、ポリスチレンフォームをメインの断熱材として採用しているハウスメーカーはあるんでしょうか?
ポリスチレンフォームは、外壁部分などメインの断熱材として使用しているハウスメーカーは少ないのう。その代わり、床や天井など部分的に使っているハウスメーカーは多いぞい。
一応、ポリスチレンフォームを採用しているハウスメーカーの有名どころをまとめてみたぞい。
ポリスチレンフォーム採用ハウスメーカー | 採用箇所・分厚さなど |
---|---|
積水ハウス | 床:ポリスチレンフォーム(80mm) |
住友林業 | 床:押出法ポリスチレンフォーム(100mm) |
セキスイハイム | 床:ポリスチレンフォーム(90mm) |
ウィザースホーム | 床:押出法ポリスチレンフォーム(65mm) |
クレバリーホーム | 床:押出法ポリスチレンフォーム(65mm) |
パナソニックホームズ | 床:ポリスチレンフォーム(90mm) |
サンヨーホームズ | 床:ポリスチレンフォーム(90mm) |
へーベルハウス | 天井:ポリスチレンフォーム(25mm)+ネオマフォーム65mm 床:ポリスチレンフォーム(60mm) |
三井ホーム | 天井:ビーズ法ポリスチレンフォーム(140mm) 床:ビーズ法ポリスチレンフォーム 80mm |
飯田産業 | 壁・床:ポリスチレンフォーム(厚さ不明) |
本当ですね。こうしてみると、ポリスチレンフォーム断熱材は床や天井に用いられることが多いみたいです。
うむ。住宅のなかでも床や天井は湿気の影響を受けやすいからのう。床は地面からの湿気があがってくるし、天井はお風呂などからの湿気がたまりやすいのじゃ。
だから水や湿気に強いポリスチレンフォームを床や天井部分の断熱材として採用しているハウスメーカーが多いんじゃ。
はえ~。ハウスメーカーは色々考えて効率的に家を造っているポン!さすがだポン!
ちなみに、ただ「ポリスチレンフォーム」と記載してあるところは押出法かビーズ法か公表していないってことなので、細かい部分が気になる場合はカタログスペックで比較するか、担当者にヒアリングするべきじゃな!
ポリスチレンフォームは断熱材としてオススメか?
結局、ポリスチレンフォームは一戸建て住宅の断熱材としてオススメなの?
そこが一番知りたいです!
じゃあ個人的主観コミの感想でいいなら。
正直なところビーズ法ポリスチレンフォームも押出法ポリスチレンフォームも「中途半端な断熱材」というイメージじゃな。
と、いうにも断熱性能を求めるならウレタンフォームやフェノールフォームの方が優秀だし、耐火性や安全性を求めるならグラスウールやロックウールの方が優秀じゃ。
価格の面でもグラスウールやロックウールほど安くはない。「だったらウレタンフォームかグラスウールでいいじゃん」ってなってしまうわけじゃ。
まぁ経年劣化しにくく湿気に強い点は大きなメリットなので湿気が気になる床・天井など部分的に使うにはオススメの断熱材といえるかな。
床・天井に使うとすれば「9点(10点満点中)」、壁に使うとすれば「6点(10点満点中)」というところかな。
なるほど!断熱材も適材適所ってことだポン!
その通り。ポリスチレンフォームを床・天井のみに採用しているハウスメーカーが多いのも、その性質を理解して最適のものを選択しているわけじゃな!
せっかくマイホームを建てるなら、夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境が理想ですよね。
マイホームの温熱環境で後悔したくないなら、必ず「UA値」という数値をカタログスペックで比較してください。UA値は「住宅の断熱性能を客観的に示す数値」で、値が低いほど優秀と考えてください。
UA値は間取りプランごとに異なるため、カタログに載っている数値はあくまで目安です。ですが目安を掲載するかどうかがハウスメーカーの「断熱に対する自信の差」。現に断熱性に自信があるハウスメーカーはほぼ必ず「UA値」の目安を載せています。
もしカタログにUA値の目安が掲載されていなければ「断熱に自信なし」と考えていいです。断熱性は各ハウスメーカーの実力差が顕著に表れるポイントです。断熱性で戦っても競合他社に勝てないメーカーは「あえてUA値を載せていない」というケースが多いのです。
住宅性能のなかでも断熱性は「特に日常的に実感する性能」です。断熱で後悔している人が多いということは、裏をかえせば断熱性が高い住まいは驚くほど快適ということでもあります。
カタログスペックの「UA値」で比較しておけばマイホームの温熱環境の失敗はまずありません。せっかくの注文住宅、温熱環境で後悔しないために「UA値」は必ず最新のカタログで比較しましょう!
今回の記事をまとめると
- ビーズ法ポリスチレンフォームのメリット
- 発泡プラスチック系断熱材のなかでは価格が安い
- 水分・湿気に強く結露しにくい
- 軽い
- 断熱性が劣化しにくい
- ビーズ法ポリスチレンフォームのデメリット
- 熱・火に弱い(耐火性が弱い)
- シロアリに弱い
- 押出法ポリスチレンフォームのメリット
- 断熱性が高い
- 水分・湿気に強く結露しにくい
- 軽い
- 断熱性が劣化しにくい
- 押出法ポリスチレンフォームのデメリット
- 価格がやや高い
- 熱・火に弱い(耐火性が弱い)
- シロアリに弱い
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